さてメインの定跡に近づいていくのですが
37桂に72銀では先手の仕掛けがあります。後手は72銀の前に22飛とするのが最善手。先手はこのまま45歩から攻めてもうまくいかないので、68銀72銀57銀左64歩(これは大事な手です)55歩、その間のどこかで96歩94歩も入れておきましょうか。
左銀を57に持ってきてから仕掛けます。この場合は55歩から。ねらいは55同歩45歩同歩同桂44角54歩。
こうなれば先手成功で評価値は+301の先手有利。実は54歩ではなくて46銀のほうが優れていて、評価値は+816の先手優勢ですが。まあいずれにせよ後手はこれを避けます。
55歩に43銀はどうか。
従来の定跡だと、45歩同歩同桂44角46銀
74歩47銀(ここで35歩が正しいとされていたので後述します)63金56銀73桂
以下は54歩88角成同玉54銀が従来の定跡手順ですが、AIによるとここは68金寄と待つのが良い手だと。
評価値は+278に上がっています。後に57歩と叩かれないし、58飛とまわる余地もあるのです。84歩くらいの手に54歩88角成同玉54銀
44角42飛11角成
45銀同銀左33角というのが振り飛車のさばきですが
33同馬同桂43歩
ここは後手の応手で変化があるのですが、43同飛ならば44香53飛54歩
54同金同銀同飛55銀打
この図の評価値は+687の先手有利。従来の形は58金と83歩で、すると55同飛同銀84桂で形勢不明のようです。
蛇足になってしまいますが、従来は47銀ではなくて35歩の攻め方が正しくて
35同歩32歩33桂
31歩成45桂同銀55角同角同歩
角桂をさばき合います。33角42飛11角成36桂
38飛に54銀同銀27角というのが
びっくりする手順です。後手は銀を捨てて両取りをかけて取り返そうというのですが。36飛同角成に66桂というのがAIの指摘です。
(従来手順は45香同馬同銀同飛で互角です。) 66桂ではなくて55馬でも良いですが、銀を助ければ先手がいいみたいで、評価値は+814のほぼ先手優勢、飛歩と銀桂香の交換で、馬と金があるから駒得が大きいです。
後手は大技をかけずに36桂38飛に48桂成
48同飛に36歩くらいで互角です。評価値は+102。
この図まで戻って
AIによると、先手としては54歩同銀56銀43金55歩
中央の位を取って指すほうが良いと。63銀引45歩同歩16歩
つっかけておいて攻めないのが変わった感じですが、44金ならば45桂51角54歩
金取りと53歩成があるので先手優勢になります。よって後手は4筋を放置して駒組が進みます。
先手は57銀~68金寄まで指してから35歩同歩26飛、これで評価値は+141、先手ペースでこれからの将棋です。
ということを踏まえて、また戻りますが
43銀45歩には55歩を取って
46銀56歩と進めばメインの定跡に近づきます。これが後手の最善。
53銀型と43銀型の違いはほぼないです。
後手としては55歩同歩45歩に53銀
が正しい応手で、46銀56歩44歩同銀45歩
45歩のところで45桂は同銀同銀88角成同玉55角の王手飛車の筋になるから成立しません。53銀33角成同桂88角
この形がかなり指されていました。結論としては先手が指せるとされているのですが、AIの評価では0付近の互角です。難しい定跡だというわけですね。
明日からはこの先を見ていきます。