20180713今日の一手
3月24日の名南将棋大会から、YさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の2歩損ですが持ち歩がありますので損得なしとみておきます。
玉の堅さは同程度。先手は壁銀ですが後手の右金は離れています。
先手の攻め駒は28飛19香と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は85桂と持ち駒角で2枚。(85桂を使うのは難しいのですが、86歩から取られると84飛は働き出します。)
総合すれば互角か先手もちです。
☆ 大局観として
相掛かりから角を交換したのでしょうか。角換わりと違って互いに飛車先の歩を交換しています。
先手が優れているのは攻め駒の数で、37桂を跳ねてもう一枚の攻め駒にすることができます。19香を使いたいので端攻めをからめて攻めていきたいです。
あるいは86歩から桂を取って4枚目の攻め駒にするか。それで駒得にはなりますが、先手は1歩しかないので8筋に歩を謝ると歩切れになるから桂得で有利だともいえないです。
もう一つ注目しておきたいのは84飛の位置で、66角を先手で配置できますね。両取りで打てれば一気に有利になりそうです。
つまりは後手にとって負担が大きい局面だといえます。先手としても簡単ではありませんが、ここで有利になるところまで読んでおきたいです。
△ まずは25桂から。
これで桂が攻め駒になる反面、28飛が陰になってしまいます。持ち歩が1枚なので44銀に86歩
桂を取りに行くくらいのところでしょう。15香で歩を補充して攻めようというのは37角
があるので無理をしています。
さて1つ前の図から
後手の反撃は36歩同銀37角29飛46角成
あるいは16歩
13歩37角29飛15角成
という筋で馬を作られるとどちらも難しそうです。
△ 45桂のほうが自然です。
これで4枚目の攻め駒ですが、やはり1歩しかないので44銀に86歩くらい。36歩同銀37角
馬を作られるのは同じですが、85歩同飛25飛と逃げることができて、46角成に33歩
飛車の素抜き筋です。33同桂同桂成25飛32成桂同玉25銀
29飛から銀を取られるのは痛いですが、51飛
と打ち返して少し有利です。
後手がこの筋を嫌えば82飛
と引いておけば回避できます。この図から攻め続けることができるかどうかは難しいです。
また後手は45桂を同銀と取ってくるかもしれません。
45同歩36歩同銀75歩
34歩同銀35歩46角38飛
というのが一例で、互角の戦いです。先手好調のようでも壁銀が災いするかもしれません。
○ 86歩には16歩
後手は駒損になるので反撃するでしょう。13歩同香25桂17歩成
38飛27と33桂成
というのがぎりぎりのタイミングで、38と22角(取れば42銀)41玉32成桂同玉13香成
は先手有利。
後手がこの筋を避けようと24銀
ならば13桂不成27と21桂成同玉39飛
と金を作られていますが駒得で攻めが十分に続きます。
△ 29飛は後手からの16歩を甘くしていて
75歩45桂44銀86歩76歩85歩同飛
歩切れなので87歩は打ちたくないです。87銀~76銀を狙ってどうか。先手が悪くないですが、玉頭が少し不安です。
△ 26飛も同じような意味で
後手の16歩が甘くなっています。同じように進むかもしれませんが、75歩45桂の時に45同銀同歩37角
の反撃は残っているので少し損かもしれません。29飛とは少し違います。
○ 実戦は13歩で
端を突き捨てたところですから自然な流れです。13同桂15香16歩
端が受からないとみて反撃されました。13香成同香(17歩成に23成香がある)25桂17歩成33桂成
これで先手優勢で、33同金51角42角22銀32玉33銀成同角同角成同玉51角42桂
長い応酬ですが、要するに51角(あるいは66角)が両取りになるので先手優勢なのです。ここで飛車を取り合ってしまえば難しくなかったのですが、29飛とひるんで82飛から入玉され(そこからでも阻止できそうでしたが)、後手Hさんの逆転勝ちに終わりました。
後手が受けようと思えば、部分的には14歩同香12歩
と受けるのですが、13香成同歩25桂
持ち歩が増えたので銀を逃げれば33歩、66角か51角の筋があるので十分に攻めが続きます。
後手としては13歩に同香
のほうが良さそうです。25桂22銀13桂成同銀34香33桂打
なるべく手堅く頑張ってみます。15香37角18飛17歩同飛26角成
飛車を逃げ回ってもだめなのでそろそろ捨て時で、13香成17馬22歩
飛車を失っても攻めは続きます。
△ 34歩には22銀
となるのでしょう(44銀には45歩55銀左56歩、24銀には66角)。歩切れなので86歩くらい。16歩25飛17歩成35飛
後手の銀に邪魔されないので35歩を払えます。85飛があるので後手は65歩、85桂は取れるけれど、45桂には44角があるので結構難しいです。
☆ まとめ
端を突き捨てたところ(突き捨てが入ったところ)ですから、端攻めを考えます。13歩が最有力ですが、29飛16歩に13歩というのも考えられます。
どちらも飛車を捨てる手を考えています。相居飛車で攻めが続くかどうか難しい時には、自分の飛車をエサにして2手の間に代償を得るとか、飛車を切って攻めるとか、が重要なテクニックになります。
もちろん取られても大丈夫な陣形であるというのが前提ですが、ここでは壁銀が痛いけれど、9段目飛車打ち王手には69合駒で結構堅く受けられます。
逆に駒を捨てても飛車成りを実現させれば有利ということもありますね。飛車が主役になることも、わき役として犠牲にすることもあります。