昭和58年5月、堀口弘治先生と第10回名将戦です。堀口先生はまだ四段でプロ入り2年目、「サイボーグ堀口」というニックネームを覚えています。詰めパラを1日で解いたからだったと思いますが。

大山先生の四間飛車に堀口先生は棒銀です。

大山先生はいつもの32金と袖飛車で対抗します。堀口先生は66銀なら穏やかですが

66角ですませて攻めました。

大山先生も銀を繰り出します。

互いに棒銀みたいなものですが、大山先生は銀を突進しました。銀を出ないで76歩でまあまあ悪くないと思いますが。

堀口先生は先手で角をかわして、こちらも銀を突進します。

どちらが有利なのか?とみていると、大山先生は銀打です。84と64をカバーしたのですが、飛車先に打つのは不思議な手ですね。

堀口先生は筋悪く銀を打って

桂を取って83に。

桂香得ですが、筋はよくないです。角を追われて

角を打ち込まれた図は、大山先生のほうを持ちたいです。

ここで大山先生は77同銀成から清算したのですが、取らなくてもよいですよね。86角とか99角成とか。

清算して飛車の筋がずれたので、74銀は2手すきです。

堀口先生の追い方がどうだったか。単に(73歩を打たずに)81成桂のほうが受けにくかったところです。

と金を作っても中段玉は捕まえにくいです。飛車取りで困っているようで

飛車を取られて投了図です。飛車を切ったほうがまだ難しかったのですが。
互いに棒銀のように(先手は棒銀です)進行するのは、玉頭を攻めている方が厳しいのでしょう。けれど大山先生の76銀は勢いが余った感じがします。そのあとで75銀と打ってバランスを取りました。
わけのわからない終盤になると大山先生の経験が生きました。直線的な寄せ合いなら詰将棋が役立つかもしれませんが、複雑になると正解は見つけにくいです。大山先生の玉移動でうまくかわした一局でした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:堀口弘治4段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 6八銀(79)
14 7一玉(62)
15 3六歩(37)
16 4三銀(32)
17 2五歩(26)
18 3三角(22)
19 3七銀(48)
20 3二金(41)
21 5七銀(68)
22 6四歩(63)
23 5八金(49)
24 7四歩(73)
25 2六銀(37)
26 6三銀(72)
27 6八金(69)
28 7二飛(42)
29 6六角(88)
30 5四歩(53)
31 3五歩(36)
32 6五歩(64)
33 7七角(66)
34 7五歩(74)
35 同 歩(76)
36 6四銀(63)
37 3四歩(35)
38 同 銀(43)
39 3八飛(28)
40 4三銀(34)
41 3五銀(26)
42 7五銀(64)
43 6九玉(78)
44 7六銀(75)
45 7三歩打
46 同 飛(72)
47 9五角(77)
48 8四歩(83)
49 3四銀(35)
50 同 銀(43)
51 同 飛(38)
52 4三金(32)
53 3六飛(34)
54 7五銀打
55 5五歩(56)
56 3五歩打
57 同 飛(36)
58 5五歩(54)
59 3二銀打
60 3四歩打
61 3六飛(35)
62 5四金(43)
63 2一銀(32)
64 4二角(33)
65 7四歩打
66 同 飛(73)
67 8三桂打
68 7二玉(71)
69 9一桂成(83)
70 9四歩(93)
71 8六角(95)
72 同 銀(75)
73 同 歩(87)
74 7七歩打
75 7九香打
76 8八角打
77 7三歩打
78 同 飛(74)
79 7七桂(89)
80 同 銀成(76)
81 同 香(79)
82 同 角成(88)
83 同 金(68)
84 同 飛成(73)
85 6八金(58)
86 8八龍(77)
87 7四銀打
88 5二金(61)
89 7三歩打
90 6二玉(72)
91 4一角打
92 6四金(54)
93 7二歩成(73)
94 5三玉(62)
95 3四飛(36)
96 3三香打
97 6二銀打
98 5四玉(53)
99 5二角成(41)
100 3四香(33)
101 投了
まで100手で後手の勝ち