名将会ブログ

名将会(旧名南将棋大会)のブログです。名古屋で将棋大会を開いています。

大山将棋研究(350); 中央位取り中飛車

昭和52年5月、米長邦雄先生と第16期十段戦です。


大山先生の位取り中飛車です。

米長先生は狙っていますね。でも52飛が先でした。

狙いは中央の位奪還です。取り返せば指しやすくなります。それが間に合うかどうかが問題。45歩の前に動かねばなりません。

大山先生のカウンター。いずれにせよ63の地点が空いてしまいそうで、振り飛車もちです。

55歩から銀の取り合いになって

63角。22玉の形で金銀の連結が悪いのが響いています。

米長先生の92角は56の歩を支えて当然(57歩成は無理)なのですが、ここの歩も痛いです。

大山先生は飛車を取らずに銀を打ち込んで

馬を作る。少しの得で抑えておくのが賢いものなのです。

53歩成を狙えば

米長先生は55銀から歩を払って頑張ります。

互いに金を上がって備えます。

ゆっくりしているとジリ貧なので、米長先生は馬を追って

飛車で斬り違えて勝負。

この2枚角がどれだけ効果があるかなのですが

まだ攻め駒不足。金を活用します。

それを無視して、飛車切りから成銀を入って、あれ?寄っています。

投了図。


米長先生の33銀から44銀というのは ある筋なのですが、この場合は52飛が先です。先手が56銀の形よりも玉の移動を優先しているので52飛~54歩同歩同銀で位を取り返せるのです。本譜は銀を繰り出したために43の地点が薄くなって、反撃がきついです。
それでも有利な展開になって、一気に攻めつぶそうとすると、かえって危なくなるというのを大山先生は肌でわかっているのです。駒得は焦らないほうが良いもので、馬を作って拠点が残っているのですから十分なのです。ゆっくり指して相手に動かせて斬る、そういう感覚を学べると思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:米長邦雄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 3四歩(33)
5 5五歩(56)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 7七角(88)
10 3二玉(42)
11 6八銀(79)
12 4二銀(31)
13 4八玉(59)
14 6四歩(63)
15 3八玉(48)
16 6三銀(62)
17 2八玉(38)
18 3三銀(42)
19 5七銀(68)
20 4四銀(33)
21 5六銀(57)
22 5二飛(82)
23 4六歩(47)
24 5四歩(53)
25 同 歩(55)
26 同 銀(63)
27 4五歩(46)
28 5五歩打
29 4四歩(45)
30 5六歩(55)
31 4三歩成(44)
32 同 銀(54)
33 2二角成(77)
34 同 玉(32)
35 6三角打
36 9二角打
37 4四歩打
38 3二銀(43)
39 5四歩打
40 4二歩打
41 5三銀打
42 5一飛(52)
43 9六角成(63)
44 7二金(61)
45 6四銀成(53)
46 5五銀打
47 5三成銀(64)
48 4四銀(55)
49 8六馬(96)
50 3三銀(32)
51 6八金(69)
52 3二金(41)
53 4八飛(58)
54 8五歩(84)
55 6四馬(86)
56 6一飛(51)
57 7五馬(64)
58 7四歩(73)
59 6六馬(75)
60 同 飛(61)
61 同 歩(67)
62 7五歩(74)
63 6五歩(66)
64 同 角(92)
65 6一飛打
66 9二角打
67 3八銀(39)
68 6二歩打
69 5一飛成(61)
70 6三金(72)
71 4四飛(48)
72 5七歩成(56)
73 同 金(68)
74 4四銀(33)
75 4二成銀(53)
76 4八歩打
77 3一銀打
78 3三玉(22)
79 3二成銀(42)
80 2四玉(33)
81 2六歩(27)
82 投了
まで81手で先手の勝ち