先手は簡単には組むことはできないと分かりましたが、次はねらいの46銀37桂型について、どれだけ有効な戦法であるかを調べてみましょう。かなり流行したので実戦例も多いです。駒組をもう一度。
76歩84歩68銀34歩
さてここは矢倉を目指すならば2択です。77銀か66歩か。後手が相矢倉ではなく急戦を目指したときに、その戦法選択が変わります。詳しくはこの本を読んでおくべきでしょうか。難しいですが。
ここでは66歩を採用して、定跡本としては所司和晴先生の「東大将棋矢倉道場第1巻」に従って調べていきます。
62銀56歩54歩48銀42銀58金右32金78金41玉69玉74歩
この図までは多少の手順前後が許されます。先手としては77銀を後回しにして67金右が正しく(早くに66歩+77銀だと角筋が2重に止まるので)、52金を見て77銀
後手の急戦矢倉 (ここでは矢倉中飛車が主) がなさそうだと判断してから77銀とします。33銀79角31角36歩44歩
ここまでが「新24手組」でしたね。
さてここで先手の作戦分岐です。37銀には64角が無難な手です。
放置して35歩同歩同角と1歩交換されると具合が悪いからです。
46銀37桂型を目指すならば、68角43金右79玉31玉88玉22玉46銀
46銀と出るタイミングを遅らせるのは、37銀型として後で書く予定です。前節で書いたように、ここでは後手は45歩37銀と追い払ってしまうのが有力でした。
53銀37桂94歩16歩14歩26歩24銀
後手がおとなしく指した場合、この図の評価値は+121、相居飛車の先手番としてはまずまずです。
初期のころの先手の指し方としては、58飛73角55歩
5筋の歩を手持ちにして攻めやすくしよう、というものがありました。これはその後に否定されて、55同歩同銀52飛
先手から54歩を打っても駄目だし、後手から35歩同歩36歩の筋も見えるので、46銀51飛55歩54歩
5筋は73角が参加しているので後手の勢力のほうが多いです。先手は思わしくないわけで、この図の評価値は-72、失敗です。(どこかで42金寄~31飛~35歩というのも見たことがあります。)
相矢倉の駒組は、それだけでも結構難しく、後手の急戦矢倉にはこういう形もあって、こう対応して・・・まで考えるには、初段は必要でしょう。アマチュアでも矢倉は (も) 強いベテランが多くて、それに参入してよいか、覚悟が必要でした。居飛車党でも矢倉、角換わり、相掛り、横歩取りはそれぞれ感覚が違うので、どれかに絞って経験を積むほうが上達が速いと思います。矢倉を指すにしても、相矢倉を避けて急戦矢倉だけにすることは可能です。