20180621今日の一手

3月4日の名南将棋大会から、OさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂と銀歩の交換で、後手に持ち歩があります。すこしだけ先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は55銀と持ち駒銀で2枚。88角は使いやすいですが、26飛は攻めには使いにくいです。
後手の攻め駒は45飛33角と持ち駒桂で3枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
後手の手番だとしたら銀を取り返して駒得になり攻め駒も増えて有利以上になります。先手番なので黙って銀を取らせるわけにはいきません。逃げたらどうなるか、逃げる前に一仕事するのか、はたまた取らせる手があるのか、というのが読みの中心になります。
先手の不満な点は26飛が攻めに使えていないこと、66桂の傷があることです。後で66桂で金か銀をはがされることを考えると、駒得だからとゆっくり指していたら悪くなりそうです。
後手の不満は21桂が働いていないこと。攻めの銀を先手の右桂と交換しているのですから、もう少し戦果が欲しいです。
つまりはここが勝敗の分かれ目だということです。後手玉のほうが堅いですから、なるべく妥協しないで、ちょっとでも有利な取引をしたいのです。
△ 一番自然なのは46銀でしょう。

これで良ければ一番ですが、先手からも飛車取りであるとはいえ88角成同玉44角

王手飛車で返されそうです。(この前に46飛と切っても同飛で王手飛車にはならないので難しい形です。)77銀26角45銀66桂

飛車の取り合いにしてみると、手順に66桂が王手にならず、先手玉を(77銀打で)固めているという図です。それでも66桂が悩ましいので形勢互角くらいでしょう。
△ 46銀打だと

41飛に64歩53金34歩51角54銀同金63歩成同銀11角成

銀を捨てても11香を取って角を成れば少しだけ駒得です。後手の美濃囲いを乱しているので先手もちか。
後手は43飛と逃げておいて

34歩に22角を用意(24歩に備えた引き方)をするほうが少し優り、64歩53金35銀55歩34銀

桂損でも角を取れば銀桂と角の二枚換え、駒損ではありますが55角と出る手も生じるのでまあまあ妥協できるところか。やや後手もちだとは思いますが。
△ すぐに34銀

と打ってしまえば一手早く角をとれるのですが、35飛33銀不成55歩

33銀を逃げられるものの、後手に飛車を成られることになります。42銀成39飛成55角66桂

66同銀同歩同角19竜64歩62金引11角成

銀角交換の駒得ではありますが、後手の攻め駒が4枚です。65香、57歩同金直79銀、後手の攻めを覚悟しつつ、反撃を狙えるかどうか。駒得でも自信のない図です。
× 他に銀を使う手は44銀打で

55歩33銀成同桂

これは明快な二枚換えの駒損で25飛を見られています。後手が左桂を使える理想的な順で後手有利です。
○ さてここまでの順を考えたところで工夫に入ります。64歩を打てば

53金に34銀を決行し、35飛33銀不成55歩42銀不成

今度は銀を逃げる手が金取りになります。52金引41銀不成51金引36歩

どこに飛車を逃げられるかわかりませんが、54角~63歩成か21角成、55角~11角成、どちらかで駒損を取り返せるので先手よしです。後手の飛車を追い返して美濃囲いを乱し64に拠点があります。
64歩に62金引だと

46銀でも良いですが54銀のほうが少し得で、88角成同玉44角

77角26角45銀

後手から66桂はあるとはいえ、先手からも63に駒を打ち込むこともできます。互いに飛車を打って横から寄せ合いになるのでしょうが、先手を持ちたい形勢です。
△ 46歩は

35飛には36歩で済みますから、46銀打よりも優れているかもしれません。42飛64歩53金

34銀(34歩22角97角もあるか)55歩33銀成同桂34歩

33歩成は魅力的ですが、6筋から反撃されて難しいところです。
△ 34歩は

22角と追えますが、そのあとの変化次第。関係ない変化があったり、34銀と打つことができなかったりで得かどうかよくわかりません。
例えば64歩62金引54銀88角成同玉35飛

王手飛車ではなく歩の内側にまわられるというのはマイナスの変化です。
△か× 24歩は

取ってもらえれば先手の得です。55歩23歩成44角24飛

これで後手が案外に動きにくくて、35銀34銀24銀45銀

銀を打ちあって飛車を取り合えばずいぶん得をした感じですが、35角24と66桂

後手の角が好位置で、先手が思わしくありません。
△× 95歩は

取ってもらえばこれも先手の得でしょうが、55歩94歩92歩

先手の桂と歩歩の交換です。ここで何かあればですが、34銀ではパッとしませんから後手もちです。
× 実戦は46飛とぶつけました。堂々とした手ですが

46同飛同銀66桂

79玉58桂成同銀39飛69銀打88角成同玉66歩

駒の損得はほぼ消えています。じっと66歩と伸ばされたのが拠点になり、64歩同金62歩から寄せ合いになるのですが

先手だけ21桂を拾えて駒得でも、67に駒を打ち込まれるのが負担で寄せ合い負けになりました。
玉が薄い状態で飛車交換で後手を引くというのは悪くなる確率が高いです。
△ 36飛はあって

55歩34銀44銀

後手の35飛を避けつつ34銀を狙うのですが、結局は二枚換えにしかなりません。難しい形勢です。
☆ まとめ
相手玉のほうが堅いけれど、それ以外のところでは少し得をしている、という状況は頻発します。(いつも堅い玉のほうを持つ人は別でしょうが。)右辺で互角の取引では少し不満で、ちょっと得をしておきたいのです。
まず考えるのは46銀と逃げて王手飛車の順。これは飛車交換で互角です。

もう一つは34銀の両取りで、駒得だけれど攻めは遅くなります。

どちらを選ぶかなのですが、最初に64歩とすると

62金引ならば46銀(あるいは54銀でもほぼ同じで)王手飛車で取り合う順

で64歩62金引の利かしが大きい。
53金ならば34銀以下が有効になります。

という二つの順を相手の応手に合わせて選ぶことができました。(後で64歩は同金か62金引を後手に選ばれます。)相手にとってどちらが得か悩ましいタイミングで応手を聞いて見るテクニックです。相矢倉で24歩を同歩か同銀かで先の展開がまるでちがう、というのに似ています。四間飛車なら45歩急戦で24歩を同歩か同角か。
いずれにせよ、64歩は打っておいた方が先手の得なので、打ってから考えてみても良いです。
実戦の46飛は王手飛車を避けた飛車交換、指したくなるのはよくわかりますが、単純な飛車交換で後手を引くというのは基本的に避けたいです。46銀と引いての飛車の取り合いは後手を引いていても、そのあとの26角の働き(持ち駒を使わせた)がよくない(さらには88同玉の形を生かせる)ので先手がまあまあ指せます。
こういう感覚的な説明は読みを得意とする方には難しいでしょうか。図面を見比べてみてください。