名将会ブログ

名将会(旧名南将棋大会)のブログです。名古屋で将棋大会を開いています。

20170918今日の一手(その572);相手に選択肢を与えて悩ませる

20170918今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、IさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
少し前から

24歩の突き捨てを後手が角を打って取り返したのだと思います。1歩得の自陣角は、ここでは少し損になっているようですが。
ここから銀冠に組み替えなら無難でしたが、35歩同歩65歩同歩75歩同歩31角と打って、

飛車を逃げてもらって75角成ならば先手が駒得(持ち歩ができて馬を作った)となる予定だったのですが、飛を逃げるわけはないですね。36歩と突きだされたのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
先手の4歩損です。(持ち歩がないのでカウントします。)
玉の堅さは先手のほうが堅い、と言いたいのですが、65歩75歩の位が大きく、同等としておきます。
先手の攻め駒は28飛31角で2枚。
後手の攻め駒は24角1枚。

総合すれば後手もちです。

☆ 大局観として
後手から76歩と37歩成の狙いがあります。どう受けましょうか。両方受ける方法はありますが、それで良いかどうか。うまくいかなければ片方は諦めますが、ちょっと働いた受け方を考えましょう。


× 42角成同銀24飛同歩(あるいは24飛同歩42角成同銀)とすれば

37歩成や76歩の脅威はなくなったようですが、22飛(あるいは41飛)64角21飛成19角成

後手の64馬の味が良いですね。74香や64香や66香や76香、どこから打たれるのもまずそうです。桂を拾って(飛を打って29飛成が良い)桂を打たれてもまずいです。
互いに美濃囲いでも二つの位が大きすぎて話になりません。大さばきではまずすぎます。


× 実戦は26飛と浮いて

37歩成同桂36歩、という筋を受けました。後手は76歩85桂同桂同歩に35角と出たのです。

これで44角を狙っています。先手のJさんは23飛成ではつぶされるとみて、36飛44角55歩同歩66歩

飛の横利きも生かして受けに回りました。これに56歩同飛64桂

というのも好打です。飛取りですが、31角の詰めろにもなっています。42角成同銀41飛66歩同飛65歩

角筋を生かした攻めが好調で、後手Yさんの快勝に終わりました。


△ 両方受けるなら48銀かと思ったのですが

76歩同金37歩成

37同桂36歩25桂

これなら十分に戦えます。

後手は37歩成ではなく41飛として

75角成74歩57馬同角成同銀34銀

という順のほうが良さそうで、64角が狙いです。それでも35歩64角27飛、という順か、65桂とするか、まだ先手が悪いですが戦いようはあります。

後手は74金とする手もあって

84歩と待って(先手からは26飛くらいしかない)から74金かもしれません。この形は76歩もありますし、52飛~22銀で角が死にます。42角成同銀24飛同歩32角

51銀に54角成という感じです。やや後手よしでしょうか。


○ 68銀と引くと

先ほどの48銀よりも玉の堅さで上回りますから得な変化も多そうです。
問題は37歩成ですが、37同桂36歩に64歩同金45桂

となれば大成功。37歩成は24飛と切れますね。

64歩を取らなければ42角成同銀24飛同歩45桂

これも調子が良いです。ということは、玉が堅ければ37歩成は怖くなかったのですね。

別の弱点は4筋が がら空きになったことですが、46歩同歩

で46同角か46同飛か。46同角には23飛成

22歩に33竜同桂42角成で銀得と思ったら、66歩同金68角成同金49飛

という返し技があります。これは難しい形勢です。

なので欲張らずに22歩には42角成

23歩64歩同角同馬同金41飛

駒が当たっていて変化もいろいろありますが、これを選べば先手有利です。(次に62歩71金53角63金71飛成同玉61歩成同玉という筋は決まりません。これを含みに53角~75角成とか21飛成を狙います。)

後手は23飛成に66歩

として66同金に68角成同金49飛成というのもありそうです。これも先手もちとは思いますが。

戻って46歩同歩に同飛は75角成

で74歩に57馬49飛成48馬という感じで長いです。33銀が取り残されているので先手もちの変化です。

68銀にはじっと84歩とされて

待たれると難しいです。48銀でも同じような変化がありましたが、26飛74金

42角成同銀24飛同歩32角

48銀よりは68銀のほうが良いわけで、先手互角以上です。


☆ まとめ
形勢互角のはずの局面で、自分から手を出してうまくいかなかった場合にどうするか、という問題でした。こういうことは現実にいっぱい経験していると思います。

仕掛けた以上は仕方ないと攻める(42角成あるいは24飛)と、相手に悪手がない限りは負けになります。

じっと我慢してみたら(実戦の26飛)好手が出て負かされた、ということもあるでしょう。

弱点をカバーしたら(48銀)難しいけれどもやや悪く

玉を固めてやってきなさい(68銀)というのが案外うまくいきました。

どれを選ぶかというのは難しいです。だけどだめだとわかっているのにどんどん攻めるというのは避けたほうが良いのだと思います。
仕方ないので自分に有利な変化の多い手で待っているというのが最善なのでしょう。この場合は玉を固めて待つというのが一番良いようです。37歩成や46歩を誘って逆転を狙います。

先日逆転勝ち(も)多い後輩に、どういうことを考えて指しているのか、と尋ねたのですが、「相手に選択肢を与えて悩ませる」そうです。68銀がそういう手なのでしょう。
私なら悩んで48銀と受けて、どこかほころびが出て負けそうです。