
4月2日の名南将棋大会から、HさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
横歩取り45角戦法の変化で、定跡から少し外れているようです。

☆ 形勢判断をします。
銀と桂香歩の交換で、後手に持ち歩があるので歩はカウントせず。馬と成銀成香を作りあっています。わずかに先手の駒得ですが、終盤なので損得なしと見ておいてよいです。
玉の堅さは71銀と28銀の違いだけですが、後手のほうが堅いです。
互いの玉の囲い(と言えるほどでもありませんが)に迫っているものだけ数えて
先手の攻め駒は33馬と持ち駒飛金桂で4枚。
後手の攻め駒は67馬と持ち駒飛金で3枚。
総合すれば互角です。
最終盤では何手で詰めろになるかを数えたほうが正確で
先手玉は69飛で詰めろ。2手すき。
後手玉は41飛~43馬で詰めろ。3手すき。
先手番ですが、このまま進めれば後手の勝ちですから、後手が有利です。
☆ 大局観として
先手としては1手かけて受け、3手すき以上にし、4手すき以上にできれば逆転です。
あるいは攻防の手を指して、後手玉が2手すき、先手玉が3手すきにできれば逆転です。
あるいは1手ずつ進めて、先手玉は1手すき、後手玉が2手すきになってから、
1手かけて受け、2手すき以上にし、3手すき以上にできれば逆転です。
あるいは攻防の手を指して、後手玉が1手すき、先手玉が2手すきにできれば逆転です。(これは「詰めろ逃れの詰めろ」といいますね。)
こういう寄せ合いの理論はもう理解していただけていますか?
一般的には1手ずつ進めてから受けるのではなく、先に受けておくほうが易しいです。
× 実戦は58桂でした。68成銀と使われて

後手の攻め駒が4枚になってしまいましたね。58桂の価値は低かったようです。そこで攻防に87飛と打ったのですが、58成銀同金38金同金58馬

81飛成(詰めろ)に48飛27玉35桂

で詰まされました。
58桂は1手かけて3手すきにはなっていたのですが、68成銀は2手すきの手(後手玉は3手すきのまま)、そこから素直に寄せ合いでは1手負けです。
少し戻って58馬の時に39金と受けても、32銀同馬25香

香を補充する手も利くので、後手の寄せ合い勝ちです。32銀同馬というのは銀を渡しますが33馬の利きをそらし、後手玉が3手すきなのを4手すきにできるので、かなり大きな手です。
× 58桂よりは59桂のほうが馬取りで良さそうです。

馬を逃げている局面ではないので、49馬同玉68成銀

成銀を使われて詰めろが続きます。48金69飛38玉59飛成49飛

でまだ粘れるのですが、先手の勝ちにもっていくにはまだ難しいです。
○ 58金打のほうがしっかりした受けです。

馬を逃げていられないので、68成銀67金同成銀31成香

後手は68飛58桂

とする以外に、78飛58桂68金という迫り方もありますが、59銀から受けが利く(69金や銀も生じてくる)のでどちらが良いか。
これは58同成銀同金38金同玉58飛成48金26桂

王手が続きますが、途切れれば22飛で52金打と使わせるので、寄せ合いか入玉も見せて先手有利です。
後手は32銀と成香を取ることもでき

32同馬をぎりぎり利かせて68成銀

67金同成銀43馬52金打22飛

馬が消えて、52に金を打たせて(打たなくても22飛で合駒として使わせる)、後手の攻めは少し弱くなりました。78飛58銀同成銀同金67銀68歩

これは千日手になるかどうか、というところだったのですが、この歩で詰めろが途切れたようです。後手玉は54桂から詰めろが続くので、先手が勝ちです。
× 87飛は実戦でも出てきた攻防の筋ですが

69飛なら59金打

これはうっちゃりを食らわせました。
でも後手は68成銀

の詰めろのほうが正解。39金打に32銀同馬25香

が詰めろ。受けは難しいです。先手の81飛成(詰めろ)は実現しません。
○ そっぽのようですが、31成香があって

後手の32銀同馬という手を防いでいます。68成銀には22飛52金打

と合駒を使わせれば後手の攻め駒は3枚で受けやすくなります。詰めろも消えました。
実は手順前後で結局定跡に戻ったようで、75桂が詰めろ。72銀に41銀

くらいで、詰めろが続き、先手の勝ちです。
後手は68成銀で79飛でも、22飛52金打58銀

でやはり戦力不足で詰めろが続きません。
△ 43馬は寄せ合いですが

68成銀(あるいは79飛か)に82飛

は鬼手。取れば詰みです。でも72銀でわずかに後手玉が詰まず(同飛成同玉83金以下かなり王手が続きます)、残念。そこで58金打と受けても78飛

と足されて、1手ずつ進めると(43馬と68成銀)受けにくくなります。
なお、最初の43馬に32銀も気になる手で、これは難しいです。42飛52香32飛成・・・と進みます。
☆ まとめ
受けるなら58桂や59桂では不安です。
58金打が正しく、これで先手玉は2手すきから3手すきになっていて、後手は馬を捨てるのでやや攻めが細くなります。先は長いのですが先手有利です。受けているうちに4手すきになりそうなのです。
攻めるなら43馬ですが、68成銀で詰めろ。後手玉は82飛72銀がわずかに詰まなくて、(実戦なら難しくて形勢不明ですが、)そこから受けるのは難しくなります。先に受けるほうが易しいものなのです。
87飛は攻防のようでも、まだ詰めろではないので68成銀で負け筋でした。
実は31成香が定跡に戻る手で、寄せ合いでそっぽの駒を取るのでは負けるのが普通ですが、次の22飛で金を打たせ、取った銀は受けにも使い道があります。1手ずつ進めた後で、22飛の合駒請求が攻防の手だったというわけです。これはレアケース。22飛52金打はゼロ手で入るので、31成香+22飛52金打までが攻防だった、と思うほうが良いでしょう。
(後手は定跡手順から外れるために、問題図の前に32銀同馬を利かせて67角成としておくほうが良いのかもしれません。)