20160520今日の一手

4月9日の名南将棋大会から、YさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀で2枚。
総合すれば先手やや有利です。
大局観として
角換わりの戦法は、棒銀(27~26)、早繰り銀(37~46)、腰掛銀(47~56)とあるわけですが、この比較をご存知でしょうか。攻め足の速さは 棒銀>早繰り銀>腰掛銀 の順です。でも棒銀には早繰り銀で対抗すれば隙が少なく、早繰り銀は腰掛銀で追い返すことができ、腰掛銀は攻め足が遅いので棒銀に対応が難しい、という三すくみの関係があります。
問題図は後手の63銀(これは腰掛銀になる)を見て棒銀に出て、銀交換に成功したので先手の作戦勝ちです。作戦負けの時には視点を変えるというか、玉の囲い方を変えるのが有力な考え方です。この場合は後手は右玉にしてしまおうとしています。先手の右銀と後手の左銀の交換で、後手の守りの銀が消えて囲いが弱体化、先手は攻め駒として十分使えた、ということで作戦勝ちなんですね。玉を右に、62か72にもっていけば、後手の金銀3枚が守りの駒、攻め駒として銀を手にしたのですから互角になっていくという寸法です。ただし32の金は玉の守備に就いているわけではないのでやや薄く、代わりに飛車の縦横の利きでカバーしようとするわけです。
つまりあまりのんびりしていると形勢互角になり、もっとのんびりしていると怪しくなります。相手の飛車のほうに玉を囲うわけですから。おそらく一番いいのは早期決戦です。
普通は右桂を使って4枚目の攻め駒とすることを考えるのですが、37~45と跳ねても目標がないので響きが薄いです。ですから後手陣の弱点はどこか考えて、攻め筋を見つけます。棒銀や早繰り銀はなかなか4枚目の攻め駒を作るのは大変です。だから腰掛銀が流行するのでしょう。
△ 実戦は15歩62玉25銀と進みました。

15歩はこの場合は後手玉の反対側なので、急戦を狙うなら省略したほうが良いです。(後手が42玉としてくれるならとても良い手だったとなります。)さらに持ち駒の銀を打つのは少しつまらないのですが、34銀を防ぐのは案外大変です。33銀56角35歩26飛

26飛も指さなくてよい手です。この後は72玉34銀同銀同角33桂

24歩同歩同飛45角

45同角同桂34銀57桂成同金65歩

ここで37角として後手玉を目指して反撃すればまだ先手有利でした。実戦は35桂から23桂成として桂馬を渡したのでこういう図になり

後手の攻めが強力すぎました。右玉に対して玉のいないほうばかりを攻めても大きな戦果は得られません。
途中、26飛を省略して34銀としたいです。

もちろん16歩51玉のままならもっといいのですが。23の地点が守れないので銀交換は避けられません。34同銀同角24銀くらいで、もう少し進めてこういう図

24銀など相手にしないで、56角と戻して75歩を狙います。この筋が急所です。
同じような形が後で出てきます。
× もし持久戦を目指すとこんな図で

右桂を跳ねることを考えるわけですが、後手からの55銀から65歩という筋がうるさく、これは先手不利です。あるいは55銀は打たないで65歩同歩同桂というのも結構うるさいです。
○ 問題図ではすぐに45角と打つことができます。

63角成同金72銀という筋と34角の両狙いです。これに54角は34角27銀48飛

後手に歩があれば38歩でよいのですが、この後がありません。
ですから45角には62玉34角となるでしょう。

33桂23角成21飛には22銀

これは先手優勢。後手がカウンターを狙うなら23角成の時に39角と打って

ここでも後手に歩があれば大変ですが、27飛23金同飛成45桂

48銀57桂成同銀49銀59歩

これでどうにかなりそうです。
後手は34角に24銀と辛抱すれば

56角54歩46歩55歩38角

と、7筋に目を向ければよいです。前に出てきた図と似ていますが、16歩の形とはいえ1歩得していますからより指しやすいです。84飛に75歩同歩76歩

と行きます。(96歩を突いてあれば端を絡めて攻めることもできました。)74銀75歩同銀74歩76歩73歩成同玉88銀

銀をへこまされても桂馬を取ることはできるでしょう。狙いは67桂66銀75銀です。24銀が質駒なので4枚目の攻め駒になり、攻めきることができると思います。
理論的に説明したつもりですが、わかっていただけるでしょうか。
右玉は作戦負けを解消するための手段として有力です。その右玉を攻めるなら、玉のいないほうを攻めるのではなく、玉のいる方を攻めたいです。7筋や9筋を攻めることを考えます。
今回は96歩を突いていないので9筋から攻めるのをやりませんでしたが、符号で言えば95歩同歩93歩同香92銀とか92角とか。あるいは(問題図では攻め足が遅いのですが)地下鉄飛車で98香から99飛を作るというのもありますね。
7筋を攻めるなら56~38角のラインで75歩です。54の地点が空いていれば75歩同歩74歩同銀54角(これが32の金取りになるとか)というのも出てきます。
せっかくの作戦勝ちなのですから、それを生かす手順を考える、という問題でした。