名将会ブログ

名将会(旧名南将棋大会)のブログです。名古屋で将棋大会を開いています。

20160219今日の一手<その279>; 違いを見つける

20160219今日の一手

12月19日の名南将棋大会からHさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の2歩得です。後手は歩切れなので駒得です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は68飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は62飛と持ち駒角で2枚。

総合すればやや先手有利です。

大局観として
せっかくの歩得ですから、後手には歩を渡したくはありません。渡す時にはある程度有利な形にしたいです。互いに堅い玉ですから、小さな差が勝敗を分けます。この局面のあたり、中盤戦で有利になればそのまま勝ちになりやすいです。
また、問題図では先手の左桂だけ77に跳ねられます。後手の右桂は今は使えなくて取られるだけでしょう。今は小さな違いですが、この場合は大きな違いになりえます。手番を生かして有利を確定させたいところです。


△ 実戦は55角でした。

後手が歩切れなのでうまく角を追えないから、手放してもよいという判断です。もし37桂とはねている形なら45歩があるのでより有力です。後手は53金と繰り出したので66角64飛77桂。

この桂馬が不用意でした。65歩同飛77桂とするか、56銀とするか、桂馬を跳ねて手を渡してはいけませんでした。

角を打たれて飛車を逃げられません。桂馬を跳ねたので88に利きが無くなったのをとがめられました。65歩に68角成同金88飛58金寄

飛車の取り合いは角を手放しているのでやりにくく、先手で飛車を打たれてしまいました。ここでは形勢互角です。
74飛75角43金64歩45歩

64歩ではなく63角はありそうでした。どちらにせよ後手は金を引いたほうがよかったのではないかと思います。この45歩に弱気になって48金寄46歩58銀75飛同歩55角

これで逆転です。45歩は手抜いて と金を作れば先手が指せていたのですが。

55角は悪い手ではないのですが、後手に歩を手に入れられると少し損な感じです。


○ 77桂は戦力を増やす自然な手です。

64飛に65歩62飛66飛では88角があります。


ですから64飛には72角と打って有利を求めに行くと67角

67角で92角は65歩で馬を作れるので大丈夫です。67角は取れないので65歩62飛81角成76角成

これは互角のようでも6筋の歩の位置が違うので後手が指せるでしょう。

先手は64飛に82から角を打てば

香車を打てるのでこれなら先手有利です。

77桂には64飛ではなく87角が気になる手です。

54角64飛81角成76角成

これは後手が有利です。

87角には66飛78角成68金

これで54角を見れば先手十分でしょう。


○ 54角と打てば桂馬が取れそうです。

92角なら66飛で

53金63歩成54金62と

これなら先手優勢。

54角には64飛しかありません。

81角成に67角

このときにあっさり91馬89角成73馬61飛63歩

と指して64桂を見れば先手有利です。

91馬ではなく65歩同飛77桂と欲張ると

これも指せそうなのですが、

65歩には84飛が馬取り。91馬86飛で

67の角は取れても守りの金が無くなりますし、飛車の働きが違います。これは後手が有利です。


○ 66飛は堂々とした手で

55角(88角には77角もある)65飛99角成54角61香

これは飛車交換になります。81角成64飛同飛同香61飛69飛54馬。

最後の馬引きが好手。馬を使わないと勝てません。64の香を取られないようにするには63歩しかありませんが、それなら91飛成から56香が後手の歩切れを突く好打になります。これで先手有利です。

また、54角では63歩成も軽い手です。

飛車交換は後手の金が離れていきます。63同金なら64歩同金85飛82歩71角

この後は42飛82角成45歩91馬46歩同銀同飛47香

という指し方がよいでしょう。81桂は飛車で取って、91香は角で取るのが理想的な取り方です。


☆ まとめ

問題図では先手がやや有利ですから、ほとんどの自然な手は正解です。
堂々と66同飛でもよいですし、77桂も自然な手です。
実戦の55角はややおとなしいというか意地悪な手ですが、ゆっくり指せば悪くはなりません。
54角は積極的によくしようという手で、落とし穴に自分ではまることもあるのですが、桂香を先に拾ってしまえば少し良いようです。


対抗型で左美濃(両方美濃囲い)や相穴熊はどちらが堅いかという比較が形勢を左右しやすいです。この問題では互いに4枚美濃でしたからなおさらで、堅さは互角、あとは攻め駒(となる玉と反対側の駒)がどちらが使えるかで形勢は決まってしまいます。中盤で差がついてしまうとそのまま終わってしまいがちで、序盤研究を行い、どちらがいい形で仕掛けられるか(あるいは仕掛けをとがめられるか)という勝負です。感覚だけでは指せないので、読みの力が必要です。
ところで普通の振り飛車に対する左美濃藤井システムで絶滅したはず。どうやって組んだのでしょうか?さらによく見れば22玉の形ですし、これは藤井システム以前に77角の筋を生かして攻められると指しにくく、消えてしまった戦法です。後手は5筋の歩を捨て、先手が歩得だからとやや妥協して問題図の局面にもっていったのです。後手の作戦成功とは言えません。